御影中学校のその後 | ||
吉田 直子 |
【項目】
雨が発塵を防止
子どもが通学している御影中学校(東灘区)に隣接する御影第一住宅の解体工事は、アスベスト・防塵対策などなんら改善されないまま6月26日に終了するまで続行された。しかし今年の神戸は4月から7月まで雨の日が多く、晴れた日は数日しかない状態だった。これは、私達、親にとって本当に感謝したいできごとだった。雨の中での解体はどれだけ子ども達の被害を救っただろうか。しかし、学校周辺の解体は次々と行われている。子ども達が本当に安全な中で過ごせるように私達親は何ができるのかをまだまだ検討し、実行していかなければならない。
アスベスト教育の実施
6月5日、御影中学校保護者有志で話合いをもち、以下の4点の対策を教育委員会等に求めていくことになった。
空気清浄機・空調機の設置を求め、署名・カンパ活動
6月14日の校長との話し合いの席で育友会会長からアスベストについて保護者の勉強会を開くことが提案され、7月4日に第1回勉強会を開いた。前夜からの激しい雨で、当日は警報が出され学校は休校。勉強会も中止と思ってか、出席者は10人と奮わなかったが、これからの解体に対応するために空気清浄機、空調機を各学級に配置するよう求める署名・カンパを7月15日から19日まで、延べ30人の協力を得て御影中学校で署名を集め、581人の署名(中学校総生徒数760名弱)と22万8510円のカンパが集まった。
写真1
空気清浄機、空調機を各学級に配置するよう求める署名とカンパ
(神戸市東灘区 07/18/95)
8月23日、教育委員会との1回目の話し合いをもった。教育委員会管理課課長、係長、保健体育指導担当官、御影中学校育友会会長、執行部、本部役員、以上14名の参加となる。神戸市の常時監視測定による震災後(2月から5月まで)の大気の測定結果は震災前とほぼ同濃度であるため、御影中学校に特別に空調設備、空気清浄機設置は考えていないとのこと(しかし2月から5月は晴れた日は少なく、浮遊粒子状物質の測定結果はほとんど参考にならないと思える)。本音はこの措置を1校に実施すれば、神戸市内全校に実施しなければならないという融通性のない特有の考え方のようであった。倒壊した校舎の建て替えで予算がないという話で終わった。
子どもの安全をゆだねている教育委員会がこのようにヤル気がないとすれば、神戸市の子ども達は一体誰が守ってやれるのだろうか。いまの神戸には子ども達の環境に目を向けてくれるところはどこにもないのだろうか。
保護者からの意見に「子ども達の健康の安全を第一優先に考える姿勢を見せてほしい」とあった。こんな基本的なことがいま一番忘れられているのではないかと思う。
吹きつけアスベストをハンマーで
御影中学校から50m先にある御影高校の隣で、先頃クリソタイル(白石綿)吹きつけビルの改修工事が行われた。養生もないまま、アスベストが吹きつけられた鉄骨むき出しの壁を叩き落としていた。作業員の若い子はマスクもせずハンマーを振っていた。市の大気課が、固めて作業するよう指導したが、かなり吹き付けが飛散していた。高校の陸上部は仮設でグラウンドが使えないため現場の前の道路を何度も何度も走っていた(写真2)。このような状態を教育委員会は何も知らないでいる。知る努力もしていない。中学校西隣の御影小学校の向かいのマンションも9月から解体が始まる。これでも何の措置もいらないと本当に考えられるのだろうか。子ども達の新学期はもうすぐ始まろうとしている。
写真2
工事現場のすぐそばで課外活動をしている御影高校の生徒たち
(神戸市東灘区 07/20/95)
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