御影中学校隣接ビルの解体をめぐって
吉田 直子


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【項目】

はじめに
御影中学校隣接ビルの場合
解体終了まであと1か月半


はじめに

 学校周辺の解体については子供たちが朝8時から午後4時頃までのおよそ 8時間を生活している場所であることを十分認識した解体準備が行われる必 要があると思われます。登下校の安全、埃、アスベスト等から子供たちを守 ることが肝要です。特に体育の授業や校庭での活動が必要不可欠の子供たち であることを考えるならば、大気をできるかぎり安全に保つことを何よりも 優先に考慮されるべきだと思われます。
 危険な工事現場に隣接する学校へ子供を通わせなければならない母親のひ とりとして、私は工事の安全性を求めて、何ができるのかを模索してきまし た。
 アスベストに安全基準値はないことを広く理解してもらうことが子供たち をアスベスト被害から守る唯一の道だと思われます。しかし、日一日と解体 が進むなかで、早急に事を進めなければ子供たちは何も知らずに体育授業、 課外活動を続け、15年〜20年後に発病の危険を背負わされていくのです。 皆が監視の目となり解体前に事前処理を怠らなければ、その危険は少なくと も回避できるのです。解体を1件でも多くして利益を上げることと、子供た ちの将来を不安から守ること、どちらを取るべきことなのかを業者、市に問 いかけるべきでしょう。

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御影中学校隣接ビルの場合

 以下、御影中学校に隣接するビルの解体工事をめぐるやりとりを記します。

3月中旬
解体工事日程を知る。
3月下旬
アスベストのデータや防塵マスクについてのチラシをつくり 学校の保健の先生、避難所(御影中学・御影工業高校)に配る。
4月上旬
解体ビルの設計図書を住宅供給公社に見にいく。 仕様書をコピーしてもらう。 アスベスト建材が使われていることがわかる。 アスベスト根絶ネットワークの温品惇一氏、 山下一義氏と現地に入り確認する。
10日
解体日になっていたが、始業式、入学式のため学校側の要請 で13日に延期となる。
13日
解体がはじまる。
解体前に現場責任者との話合いでアスベストの撤去に飛散防 剤を使うように要請し、防止剤も用意されていたにもかかわら ず、ビルの中に入ることができないという理由で使用されなか った。
14日
アスベスト根絶ネットワークに依頼していた防塵マスク90 0枚を学校にわたす。同ネットワークからマリ・クリスティー ヌさんと依田彦三郎先生が学校に出向いてくださりアスベスト について校長と話し合ってもらう。 現場に再度、飛散防止剤を使うよう要請する。 PTA執行部で解体ビルのアスベスト建材の使用、学校側の アスベスト対策(マスクの入手方法、体育授業等)について話 し合う。
15日
ネットワークの方々と解体状況の写真と仕様書を持って、市 役所に出向き、環境局指導課大気係森田知博氏に解体に際して 生徒たちに被害が出ないよう監視してほしいと要請する。
19日
森田氏、現場付近とグラウンドの2ヵ所のアスベストを測定。
28日
測定結果「現場付近2.5本/l グラウンド0.7本/l」。 この数値では、市として現場にアスベストの指導はできない とのこと。 PTA会長の江藤氏と教頭山口氏に親和中学校の解体現場を 見てもらう。最低この程度の養生は必要と同意を得る。
5月1日
江藤氏にPTAのカンパで養生シートを建てることを提案す る。 体育授業に近隣の短大の体育館の借用を提案する。大学の理 事長から、校長の要請があれば可能との返事をもらう。

御影中学校隣接ビルの解体工事
(神戸市東灘区 04/12/95)

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解体終了まであと1か月半

 5月15日現在、解体期間を1か月半残したまま、すべては硬直状態のま まです。
 幸い、解体直後から雨の日が多く、今のところ子供たちに被害が及んでい ないだろうと信じることしかできません。これからを担う子供たちの環境を 安全に保つことに行政も業者もあまりにも無関心過ぎます。この復興の名の 元の急ぎ過ぎる解体作業に疑問を持たざるをえません。事前の調査日数をあ らかじめ解体日数に組み入れ、学校周辺の解体にはシート養生の費用を市が 負担し、解体費用に必要分組み入れるという姿勢が、今至急に必要とされて いるのではないでしょうか。

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(C) May 1995, Naoko Yoshida

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