違法解体が横行している!
アスベスト根絶ネットワーク


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【項目】

現場で青石綿を振り落とす!
熊谷組もズサンだった
青石綿が出てきても解体続行
東京の約50倍のアスベスト濃度
アスベスト建材対策が重要


現場で青石綿を振り落とす!

写真1
通路に落ちた青石綿をホウキで掃除していた!
(神戸市東灘区 02/17/95)

 神戸市東灘区甲南2丁目の山光マンションが地震で倒壊し、5階建ての鉄骨に吹きつけられていた青石綿がむき出しになった。2月中旬から解体工事が行われたが、すぐ横を通行人が通っているのにシート囲いも散水もせず、約10名の下請け作業員はマスクもしていなかった。
 「石綿がついているとスクラップ屋が鉄骨を引き取ってくれない」ので、解体現場で青石綿を振り落とす。落ちた青石綿の塊を作業員がマスクもしないでホウキで掃いていた(写真1)。まさに気の遠くなるような光景だった。
 作業員に防塵マスクを配ると、急いで着用していた。解体現場のすぐ近く、通行人が通っている場所のアスベスト濃度は160本/l、250本/lというものすごい濃度だった(環境監視研究所 中地重晴氏の調査)。
 解体工事終了後も隣の神戸信用金庫東灘支店の植込みなどに青石綿の塊が散乱していた。神戸市大気課に通報したところ、約2週間後にようやく神戸市が除染作業を行なった。

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熊谷組もズサンだった

写真2
ずさんな補修工事で床に青石綿のかたまりが散乱
(神戸市東灘区 04/02/95)

 神戸市中央卸売市場東部市場(東灘区深江浜町)の市場棟の梁は青石綿が吹きつけられていた。地震でこわれた梁を補強するときにはがした青石綿の塊が床に散乱していた(写真2)。
 解体する場合の青石綿は事前に除去されたが、工事中に青石綿が外部に散乱していた。東部市場解体工事の元請けは大手ゼネコンの熊谷組だった。
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青石綿が出てきても解体続行

写真3
窓枠の左の柱にむき出しになった青石綿の吹きつけ
(神戸市中央区 04/25/95)

 4月下旬の段階では、ビルを解体する前に天井裏などを調べている場合もある。しかし清水建設が解体していた神仙閣では、解体途中で青石綿がむき出しになったにもかかわらず、石綿を事前除去しないまま、散水もせず、多くの作業員がマスクもしない状態で、解体作業を続行していた(写真3)。
 清水建設の現場責任者、労基署、神戸市大気係に連絡して、工事を中止させ、アスベストを除去してから解体することを確認した。

 元町駅前の広東料理店広州の鉄骨、デッキプレート(天井の鉄板)にも青石綿が吹きつけられていた。ナカノコーポレーションが改修工事を行っていたが、床に青石綿の塊が散乱し、作業員の多くはマスクもしていなかった。コンクリートガラと一緒に青石綿の塊がクルマに積み込まれ、目抜き通りの歩道に青石綿の塊が落ちていた。

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東京の約50倍のアスベスト濃度

 環境庁は2月から毎月1回、被災地の大気中のアスベスト濃度を測定している。2月の調査では神戸市中央区役所で4.9本/l、西宮市中心街の解体現場近くで4.8本/lが検出されている。これは東京の約50倍の高濃度である。50地点のうち19地点で東京の10倍を越えていた。
 その結果、環境庁は2月23日、石綿対策関係省庁連絡会議を開き、解体前の吹きつけアスベスト除去などの対策を通知した。
 しかし3月の調査では、2月と同地点で測定した17ヶ所のうち8ヶ所で2月よりアスベスト濃度が高くなっており、西宮市役所の近くでは実に6本/lに達していた。環境庁は「今後なお一層のアスベスト飛散防止対策の徹底を図る必要がある」としている。

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アスベスト建材対策が重要

 被災地のビル解体に際し行政のアスベスト対策は吹きつけアスベストに限定されてきた。しかしピータイル、けいカル板などのアスベスト建材が使われているビルをそのまま重機で解体すれば、大量のアスベストが飛散する。
 実際、東灘区の御影第一住宅の解体現場で2.5本/lのアスベストが検出されている。このマンションには吹きつけアスベストはなく、床にピータイルが使われていた。
 兵庫県が4月に作成した「阪神・淡路大震災における民間倒壊建物の解体撤去工事に関する指針」は、
「吹き付け石綿以外の飛散の恐れのある石綿を除去・処分する必要のある建築物の解体・撤去工事は、必要に応じて、(先行除去を規定する)本章の規定を準用する」
「解体材の分別処分のため、駆体の解体・撤去に先立って、設備機器、内装材等の撤去を行う」
としている。

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(C) May 1995, ASNET

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